所得だけではわからない沖縄の幸福度が高いワケ 消費性向が高く、幸福度も高い独自市場
特定の市場を狙って、あえて沖縄市場に媚びないというのも1つの戦略です。しかし、牛丼チェーン店で普通にタコライスがメニュー化されているように、地元に合わせるという戦略を私はオススメします。沖縄進出にあたっては、沖縄食堂のメニューをイメージして、さまざまなニーズに応えるべく顧客ターゲットを足し算で考え、楽しさを生み出すという柔軟な思考を持ってほしいと思います。沖縄ではメニュー数の多さが、消費者の心を動かす大事な原動力となるのです。
「ゆいまーる」の精神が息づき、笑顔で暮らせる場所
県民所得や平均貯蓄額といった経済指標では常に最下位クラスの沖縄で、さらに消費性向が高いとなると、生活に困っている人が多いのではないかと思われるかもしれません。事実、貧困率は高いものの、それは一側面に過ぎません。多くの沖縄県民は、統計で表されるほど生活に困っていません。統計値だけでは見えてこない、沖縄ならではの生活様式が息づいているからです。
よくある話が「仕事から帰ると、袋いっぱいのゴーヤーが玄関前に置かれていた」といった日常のエピソード。袋には名前は書かれていないものの、「ああ、これは○○さんが持ってきてくれたんだ」と、沖縄の人ならわかります。立派な食べ物やお土産をわざわざ買って届けるのではなく、自分の畑で作ったものを名乗るわけでもなく、家の人がいなければ、そっと玄関に置いてくる。それがウチナーンチュ(沖縄の人)、特に田舎では普段の生活シーンです。
沖縄には「ゆいまーる」という、本土の人にもよく知られている言葉があります。助け合い精神、お互い様、といった意味ですが、そこまでかしこまったことではなく、作りすぎちゃったから、食べてね。それぐらいの軽い気持ちです。「ゆいまーる」があるから、所得が低くても、貯蓄が少なくても、沖縄の人は笑顔でいられるのでしょう。統計指標に表れている人口や所得額だけでは、沖縄の人の暮らしやマーケットサイズを見誤ってしまうかもしれません。
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