BOPビジネスの正しい進め方《第4回・最終回》--現地社会の「起業家」を発掘・支援することが重要


 結局、多くの貧困層は水を買わなければならず、その価格は04年以降、急騰している。安全な水を使える富裕層に比べて貧困層は10倍以上ものコストを払っているという統計もある。

飲料メーカーのペプシコにとって水は自社のビジネスになくてはならないものである。さらにフィリピンは同社にとってアジア太平洋地域では2番目に大きい重要な市場でもある。これらの理由から、「ウォーター・ホープ」というプロジェクトを開始することになった。

このプロジェクトでは、ペプシコがコミュニティ所有とする水浄化施設を設置。住民が「マイクロ・フランチャイジー」として参加し、一定の研修受講後、安全な飲み水を5ガロン(約19リットル)ボトルに詰めて販売し、その収益を得ることができるようにした。

今のところマイクロ・フランチャイジーになった住民で、日雇い労働よりも稼げるようになった人は約3割程度。だが、それ以外の人にとっても副業ができ、つねに収入が得られる手立てができたことは大きな意味があるという。

水を買う立場の住民たちにとっては、安全な水を安価で購入できるようになったうえに、子どもたちが下痢になることが少なくなり、学校の出席率が向上するという効果もあった。

同様の例としてもう1つご紹介するのが、地域の村人から小さな起業家たちを発掘して、サプライチェーン・マネジメントで成功しているインドのドリシュティ社だ。インドには中規模サイズの村(1200世帯で人口6000人程度)が全土で10万村あり、その6~7割が農民だという。

こうした中規模村の多くは、交通網が未整備のために、そこに行くには大都市から何日もかかることが多い。しかし、これら中規模村の市場規模を合わせると80億ドルくらいあるとも言われている。だが、そうした村にある商店の仕入れは、店の主人が店を閉めて何日もかけて町まで行かなければならず、休店日が多く品ぞろえもまばらであった。

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