中国が米国を抜く日は21世紀前半に来ない--ジョセフ・S・ナイ ハーバード大学教授

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米国は移民からも多大な恩恵を受けている。05年時点で、過去10年に起業された技術系企業の25%に外国生まれの移民が参加している。

かつてシンガポールのリー・クアンユー元首相が語ったように、中国は13億人の人材を頼りにすることができる一方、米国はその多様な文化の中で世界の70億人を引き合わせて、中国の大漢民族主義では不可能なやり方で創造性を高めることができるのだ。

米国の非効率な政治制度について懸念する評論家は多い。米国の建国の父たちは、効率面で犠牲を払ってでも自由を守ろうとして三権分立の制度を作り出した。さらに現在、党派による二極化が激しい。

だが汚い政治は米国にとって新しいことではない。現在のメロドラマ的状況に目を奪われがちだが、今日よりもひどかった時期もあったのだ。

米国は、公的債務、脆弱な中等教育、政治の行き詰まりなどの問題を抱えているが、これらは全体像の一部にすぎず、原則として長期的に解決することが可能である。

もちろん、米国が実行可能な解決策を実施できるかどうかは不確実だ。いくつかの委員会が、増税と歳出削減によって財政赤字見通しの修正につなげる計画を提案したものの、それが採用される保証はない。それでもリー元首相が言ったように、中国は「米国を相手に善戦するだろう」が、今世紀の前半に総力で米国を上回ることはない、という見方はおそらく正しい。

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