過去に戻るつもりはない、新しいワンバンクを作る--みずほフィナンシャルグループ社長、グループCEO 佐藤康博

──メガバンクはどこも海外事業の拡大を強調しています。みずほが考えるアジア展開のポイントは。

アジアビジネスのやり方は3種類ある。まずアジアに出る日系企業を徹底的にフォローする。二つ目は非日系企業の営業だ。電話一本で新日本製鉄や東芝のトップと話ができるような関係を、非日系のコア企業と作ること。1年、2年の収益を考えればまどろっこしいが、5年、10年先を見据え本当のメインバンクになるには、そういった関係が必要になる。私も、海外出張したら必ず非日系企業を訪問し、産業調査部が作成したリポートを基に、産業の動向や戦略の話をすることで関係構築に努めてきた。企業のトップと直接コミュニケーションができる関係をいくつも築けており、それをどれだけ増やせるかが勝負だと思っている。

三つ目がインフラ。たとえばインドが中国に比べて成長が遅いのはインフラ不足があるから。タイやインドネシアなどもそう。欧州系金融機関はこうした分野から資金を引き揚げ始めており、アジア経済の成長にとって大きな問題になりつつある。

──欧州金融不安から、リストラによる事業売却が増えると思われます。現状をどう見ていますか。

すべてを自分たちだけでやろうとは思っておらず、出資や買収などは絶えず頭の中にある。われわれの戦略に合致するいいものならば積極的に検討するが、今が本当にチャンスなのかを十分に考えなければならない。リーマンショックも当初は米国の問題だといわれた。ところが世界的不況に発展し、いちばん影響を受けたのが日本だった。

欧州危機はそう簡単に終わらないだろう。危機がさらに広がった場合、リーマンのときと同じようなことが起きる可能性はまだある。

問題が欧州だけで収まらなければ、日本も影響を受ける。欧州系の金融機関によるアジアからの資金の引き揚げが本格化すれば、その地域の経済に影響が出る。全部がつながっているだけに、日本の企業や銀行もやられかねない。全面的にチャンスだといって進む状況にはないとみている。

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さとう・やすひろ
1952年東京生まれ。76年東京大学経済学部卒、日本興業銀行入行。2003年みずほコーポレート銀行執行役員。常務、副頭取を経て09年に同行頭取(現職)、みずほフィナンシャルグループ(FG)取締役。11年6月にみずほFG社長・グループCEO、みずほ銀行取締役に。

(井下健悟、浪川攻 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2011年11月5日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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