過去に戻るつもりはない、新しいワンバンクを作る--みずほフィナンシャルグループ社長、グループCEO 佐藤康博
──外形的にワンバンク化はほかのメガバンクと同じです。
行内でも言っているが、(ツーバンク制で発足した)10年前に戻って三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行を追いかけるつもりはまったくない。中堅・中小、大企業など顧客セグメントに分かれてビジネスをやってきた強みがあり、それはワンバンクに残す。逆に、経費構造の問題など弱みは修正する。過去の経験を踏まえ、新しい銀行を作ることが大きな目的だ。
BKとCBの統合だけではなく、(今年9月の完全子会社化で)証券や信託銀行などすべてが持ち株会社の下に100%子会社としてつながった。こうした形態は、グループ戦略を立ててマーケットを多面的に攻めるうえで大きな差別化を図れる。
──完全子会社化は、来年から導入される国際的資本規制「バーゼル�」が影響したのでしょうか。
バーゼル�の関連だと、100%子会社化によって財務上(自己資本には)かなりプラスに働く。だが、それが本当の目的ではない。先々の収益を考えた場合、100%子会社化による連携はどうしても必要だった。もちろん、両方を見ているが、子会社化の主眼はコーポレートストラクチャーの変更にある。
--3メガバンクグループが形成されて10年ほど経過しましたが、個性化など統合の答えは社会に示せていないようにも見えます。
ご指摘のとおり。今回のワンバンク化でも、われわれが間違えてはならないのが、勝手な“ゲーム”をやっているわけではないということだ。システム障害を受けて、信頼回復のためにコーポレートストラクチャーを変えます、というのでは手前勝手な議論になりかねない。