最強のビジネスモデル「補完財型」は何が秀逸か 営業利益率やROEが群を抜いて高い納得の理由

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高井宏章(以下、高井):さまざまなビジネスモデルがある中でも「三者間市場」で商売をしている会社のケースとして、特集の中ではまずテレビ局(民放)などを含む「広告モデル」、そして広告代理店や人材紹介・仲介などを含む「マッチングモデル」を挙げています。これらはわりとわかりやすい仕組みでしょう。

これに加えてもう1つ「補完財プラットフォームモデル」というのを挙げていますが、前の2つのモデルとの違いはどこにありますか?

松浦大(以下、松浦):「マッチング」も「補完財プラットフォーム」も、企業が仲介の場を提供するという点では違いがないのですが、「補完財」のほうは(場の提供だけでなく)自社の製品を売るというのも1つメインの商売になっているところです。

高井:例としてゲームの会社などを挙げていますね。まずは自社のゲーム機を売るのが1つ目の商売であると。

松浦:そこにサードパーティと呼ばれる外部の業者が乗っかって、ゲームのソフトを作って売ってくれる。そこから手数料を取るというビジネスモデルです。これの何がいいかというと、外部の業者が独自にソフトを開発・販売してくれるので、とても経営の効率がいいんですね。

高井:その部分をアウトソーシングしているようなイメージですね。自社のゲーム機の付加価値を、よそ様がどんどん上げてくれると。そうなれば自社のバランスシートを使った投資も少なく済むので、儲かっちゃうということですね。これが今のところ、究極のビジネスモデルと言えますか?

松浦:そう思います。

収益性と経営効率でマッピングすると

高井:ただ、そこにはなかなかたどり着けないというのが現実ですね。(三社間市場以外のモデルも含めた)全9種類のビジネスモデルを収益性と経営効率、そして該当社数でマッピングした図を見てみると、「補完財プラットフォームモデル」の会社はほんのひと握りだとわかります。

対象の400社のうち、半数以上が「製造販売モデル」に該当しますね。「継続モデル」(製品やサービスを定期購入してもらうモデル)、「設置ベースモデル」(製品本体に加え消耗品や保守で稼ぐモデル)も大きなかたまりで、わりと標準的なビジネスモデルだと言えそうです。

(※外部配信先では図表などの画像を閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

俯瞰して眺めてみると、収益性の面でも経営効率の面でも、「目指せ!補完財プラットフォーマー」という感じですね。

松浦:そうですね。「補完財プラットフォーマー」の強さが際立っているのは確かです。ただ、どんな会社でもプラットフォーマーになれるかというと、そうではないと思います。

なので、例えば「製造販売モデル」だったら少しでも「設置ベースモデル」の方向に行きましょう、とか、「流通小売りモデル」だったら少しでも「合算モデル」(目玉商品をフックにまとめ買いやついで買いで稼ぐモデル)に近づきましょう、というふうに、なんとなく目指す方向が見えてくるのがこの図の面白いところではないでしょうか。

動画では、週刊東洋経済「もうけの仕組み 2024年版」特集の内容を基に、「『価値の創出方法』×『もうけの獲得方法』で決まる全9パターンのビジネスモデル」「営業利益率ランキング、ROEランキングで見る最強企業のビジネスモデル」などについても解説しています。
※本動画は2024年6月に収録したものです。
制作:鈴木研一郎
松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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高井 宏章 経済コラムニスト / YouTuber

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たかい ひろあき / hiroaki takai

1972年生まれ、名古屋出身。1995年、日経新聞入社。マーケット、資産運用などを長く担当。2016年からロンドンに2年駐在し、2020年から退職まで編集委員を務めた。日経在籍時は電子版やYouTubeの「教えて高井さん」の動画解説で親しまれ、キャスターとして「日経ニュースプラス9」にも出演。「高井浩章」名義で出版した『おカネの教室』は10万部超のロングセラーに。Twitter、noteで経済にとどまらず、書評や教育論など幅広い情報を発信している。

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