日本経済の雲行きが怪しくなってきた 4〜6月マイナス成長で景気対策の思惑浮上

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SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、「昨年の消費増税をきっかけに、低所得者層中心に節約志向が広がっている。シニア層は株高の恩恵を受けているアクティブシニアと節約層に二極化しており、大企業中心の賃上げだけでは、消費の弱さを補えていない」と懸念する。

7〜9月期も不振なら?

では先行きはどうか。今のところ7~9月期はプラス成長に戻るとの見立てで一致している。

「雇用環境はしっかりしており、大崩れはない。日本経済は一種の”踊り場”的な局面にあったのだろうが、2四半期マイナス成長はないのではないか」とモルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅シニアエコノミストは見る。

ただ、先行きのリスクは残るようだ。バークレイズ証券の森田京平マネージングディレクターは、米国向け輸出や実質賃金の改善が見込めるため、2四半期連続のマイナス成長はないとしながらも、「鉱工業生産が震災前の水準をなかなか超えられていない点や、日銀短観が『設備投資不足』を示しているにもかかわらず、製造業の稼動率が上がっていない点が気になる。製造業の設備投資が更新投資以上の規模になるのか見極めたい」と指摘する。

エコノミストの予測に呼応するかのように、安倍政権内部からも、日本経済の成長率の弱さに懸念を示す声があがる。本田悦朗・内閣官房参与は「足元低迷している個人消費が復調しなければ(中略)3兆円程度の補正予算で下支えする必要がある」と述べたという(8月4日付けロイター)。

次の焦点は11月16日公表予定の7〜9月期の実質成長率。仮に、ここでもマイナス成長、ないしはそれに近い低水準の数値が出るようだと、本田参与のアドバルーンのように、補正予算や追加金融緩和の観測が強まるかもしれない。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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