テレビ局が夏に社屋イベントを開催するワケ 5年後の東京オリンピック開催を視野に

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
六本木駅周辺では『テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION』が開催されている

今夏、六本木ヒルズは客層ががらりと変わっている。テレビ朝日が運営するライブハウスEXシアター六本木で、7月から8月の間の34日間、全70公演行われているジャニーズJr.の公演めがけて、10代の女性たちがこぞって集まっているからだ。

テレビ朝日の本社がある六本木駅周辺では、『テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION』が開催されている。初開催した昨年に続き、今年2回目となる夏イベントは、テレビ朝日の「メディアシティ」構想の一環だ。メディアシティとは、開局60周年を迎える2018年度までに、地上波、BS、CS放送やインターネットと、EXシアターや本社周辺エリアを連携させてリアルな体験を提供することを指す。

冒頭の女性たちはライブハウスに向かう前後に、テレビ朝日の社屋内に設置されたジャニーズJr.が出演する番組『ガムシャラ!』の展示ブースに向かう。途中、66体の等身大ドラえもんが設置されたフォトスポットで写真を撮り、六本木ヒルズのカフェスペースの「かき氷コレクション」で1杯600~1000円のかき氷を食べる。知らず知らずのうちに、夏祭りの会場を回遊するジャニーズJr.ファンで、通常、外資系企業で働く会社員や大人の男女が集う六本木ヒルズのイメージを一変させているというわけだ。

別格のフジテレビ

テレビ局が開催する夏の大型イベントとしては、本社を台場に移転した1997年から20年近く開催し続けノウハウを積み上げてきたフジテレビジョンは別格だ。「冒険王」「合衆国」「新大陸」に続き、今年は『お台場夢大陸~ドリームメガナツマツリ~』として新装開催している。テレビ局の夏イベントといえば、放送中のバラエティ番組やドラマの展示ブース、ゲームなどのアトラクションが浮かぶだろう。今年のフジは、月9ドラマ『恋仲』やアニメ『ワンピース』にウェアラブル端末やバーチャル映像などの最新テクノロジーを駆使したアトラクションで、番組ファンを楽しませている。

一方で、高さ20メートルの「バンジータワー」や2000平方メートル超の巨大な「ウォーターパーク」、水族館、東京有名飲食店の料理など、今年から、フジテレビの番組を知らなくても世界各国共通で楽しめるものを増やした。外国人観光客の取り込みを意識してのことだ。昨年までのフジの夏イベントは、事業責任者となる団長が1年ごとに変わっていた。団長の経歴がバラエティか、報道か、営業なのかによって毎年コンセプトが変わり、それがイベントの新鮮さにつながっていた。

ただ、同じフォーマットで10年以上続けてきたことでノウハウが蓄積された反面、1年ごとに新しいものを生み出すことが難しくなってきた。今年から「新しい日本の夏祭りを提案するというコンセプトのもと、2年計画、3年計画で作り上げたらまた新たなイベントの形を生み出せる」と、意気込む齋藤秋水氏が事務局長となり、そのほか5人の”コンセプトデザイナー”がバラエティ、スポーツ、編成部門と兼務しながら継続して事業にあたる。同メンバーで、東京で夏季オリンピックが開催される5年後の集大成を目指す。

次ページプロの芸人出演
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事