「ひめキュン」は他のアイドルとは全く違う ロック路線への変更でライバルと差別化

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【2】競合が追いつけないくらいまで突出する

ひめキュンよりも後発のアイドルで「ロック」を売りにしているアイドルグループも出てきている。しかし、それらと圧倒的に違うのは声量と運動量だという。

「生のバンドの演奏で歌う訓練をしているかどうかで声量がまったく違ってくるんです。ほかにも『ロック』を売りにしているアイドルがいるけど、バンドの演奏で歌わせたら声がかき消されてしまう。それで結局CDを流してるアイドルたちばかりなんです」

また、運動量に関しても、高校生のメンバー岡本真依さんが体育の持久走で陸上部の同級生と同着したという逸話がある。伊賀氏は『ひめキュン』メンバーにハードなダンスの練習以外にも体幹を鍛える筋力トレーニングを課しているという。

「ひめキュンとほかのアイドルとの力強さを例えるなら、戦車と原付くらいの力の差がありますよ。真似しようと思ってもまず追いつけないんじゃないですかね」

【3】ブランディングを徹底する

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(写真上から)『バズワード』に封入されている歌詞カードのダミーと、ロックテイストの歌詞カード

伊賀氏は商品のブランディングについて「中途半端なのがいちばんダサい」と断言する。

「『ロック』を自称しているアイドルのライブでダサいと感じるのは『新曲買ってくださーい』とかステージ上で平気で言っちゃうところ。あれ、めっちゃダサいでしょ。ロックを売りにしているアイドルがあれやっちゃ絶対ダメでしょ。矢沢永吉が『新曲買ってくださーい』ってステージからお願いしてたら見てらんないよね」

特にそのロック精神が顕著に現れているのが8thシングル『バズワード』のジャケットだ。このジャケットは外側に王道アイドル調の歌詞カードのダミーが、内側にはロックテイストの歌詞カードが封入されており、しかもダミーの内側には「このジャケットはゴミ箱にぶち込め」とのただし書きがある。

こんなところからも徹底的にロック路線に振り、他者と差別化を図ろうという伊賀氏の意図がうかがえる。

商品価値を信じろ、信じられなければ徹底的に改善しろ

伊賀千晃氏(いが ちあき)/『ひめキュンフルーツ缶』プロデューサー、MAD MAGAZINE RECORDS 代表取締役 。1964年生まれ。中学1年生からバンド活動を始め、22歳で自身のレコードレーベルを設立。その後、30歳でライブハウス『松山サロンキティ』を立ち上げる。2007年に解散したロックバンド『ジャパハリネット』のプロデューサーを務めた

伊賀氏は商品の価値についてこう語った。

「相手に何かを与えて対価を得るということは、相手が本当におカネを使う価値があると信じて売らなくてはいけない。もし商品にそれを満たせない部分があると思うのなら、自ら徹底的に改善していくべき。自分でできないなら商品を作っているやつに口を出して、納得がいく商品に作り変えるくらいの気概が必要だと思うんです」

商品の価値を信じること、そして、少しでも納得がいかなければ、口を挟んででも徹底的に改善することが重要だと説く伊賀氏。

彼は自らがプロデュースする『ひめキュン』に対し、「俺に言わせれば今はまだ30点の段階」と辛口評価する。

それは、まだ彼が『ひめキュン』という商品に改善の可能性を感じているということだ。

「その商品が競合に負けるのは誰のせいか」。この問いの答えを彼の行動の中に見いだすとするなら、商品の価値を見いだそうとせず、自らその商品をよくしていこうとしない「営業マンのせい」なのかもしれない。

 

<9月9日リリースの『覚醒ミライ』>

取材・文・撮影/佐藤健太(営業type編集部)

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『20's type』編集部

『20's type』は、キャリアデザインセンターが運営するWebマガジン。2018年4月より『営業type』からサイト名をリニューアル。新時代を生きる20代若手ビジネスパーソンの「働く力」を育むために役立つ情報を発信している。

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