「ひめキュン」は他のアイドルとは全く違う ロック路線への変更でライバルと差別化
3人のプロデューサーがとった戦略は「ステレオタイプのアイドル路線で売る」だった。制服を着て、体育館で踊るといういわゆる「ステレオタイプ」だ。デビュー曲はヒットした。だが、アイドル業界は雨後の筍。ライバルの出現もあり、それ以降は低迷が続いた。そしてデビューから1年も経たない頃、『ひめキュン』は窮地に立たされる。
「もともと8人で活動していたメンバーから、2011年11月と12年3月、相次いで3人が脱退し、5人になりました。残されたメンバーはまだ中高生。本人たちが『解散しないでこれからも続ける』って言うんで、俺はこの子らの人生に責任を負って、徹底的に鍛えなくちゃいけないと思ったんですよ」
この時すでに、伊賀氏と共に活動してきた2人のプロデューサーたちは『ひめキュン』の運営から離れており、プロデューサーは伊賀氏一人になっていた。
この死にかけの商品を自らの手で売る。そう覚悟を決めた伊賀氏は大きく舵を切った。『ひめキュン』を再浮上させるために彼がとった戦略は次の3つだ。
【1】競合がやらないことをやる
メンバー脱退前の3枚目までは王道のアイドル路線、5人になって初めての4枚目以降は伊賀氏の専門のロック色が色濃く反映されている『ひめキュン』の楽曲。「アイドルではなく、ロックバンドを作っていると思っている」という伊賀氏の言葉からもわかるように『ひめキュン』はほかのアイドルがしないことをこれまで行ってきた。
<メンバー脱退前の楽曲 『恋愛エネルギー保存の法則』>
<メンバー脱退後の楽曲 『アンダンテ』>
「まず、ライブ衣装は特注せず、市販品のロックTシャツを改造して着させています。動きの多い『ひめキュン』の楽曲ではひらひらの衣装なんかより、こっちのほうが格段に動きやすい。あとは、ロックバンドと対バンさせたり、握手会と物販を同時に行わなかったり。俺はアイドルがファンに媚びておカネ儲けをしている感じがすごく嫌なの」
また、ライブでは必ず生バンド・生歌で演奏することを徹底している『ひめキュン』はアイドルとしては異例のロックフェス『MONSTER baSH』出演も果たしている。