「手術or抗がん剤」医師はどうやって決めるのか 意思決定が「致命的なミス」になり得る外科医

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
南東北病院でオペ中の中山祐次郎さん
大腸がん手術を専門とする中山祐次郎さんはこれまで2000件以上の手術を執刀してきた(写真:中山さん提供)
会社選び、結婚、転職……人生に時に大きな決断の局面が訪れます。頼るものがないとき、どのように決めればいいのでしょうか。
治療の意思決定が致命的なミスになり得る「がん外科医」の中山祐次郎さんは、何よりも自分で決める大切さを強調します。新米外科医時代の失敗から得た教訓を本音で書き記した中山さんの新刊『医者の父が息子に綴る 人生の扉をひらく鍵』より一部引用・再編集してお届けします。

試験でのカンニングの誘惑

悪の誘惑というものは、まったく困ったことに、生きていく上でたくさんある。まるで大きな落とし穴がたくさん掘られた草っ原を、歩いているようなものだ。しかもその落とし穴は、ちゃんと覆いで隠されて、上に草まで乗せられていて、パッと見ただけでは落とし穴かどうかわからないこともあるのだ。

試験中に他の人の解答用紙を見る。これはカンニングといって、誰に聞いても明らかな不正である。つまり、ハッキリした落とし穴である。

僕は、こともあろうにこの大きな落とし穴に自分から落ちかけたことがある。冷静になって考えれば、落ちて良いことなどあるはずもない。それでも、ズルをしてでも、合格したい気持ちが強かった僕は、危なく落とし穴に落ちるところであった。

次ページ本当に大事な選択は、誰にも相談せずに一人で決めるしかない
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事