外食企業への相次ぐファンドの出資。傘下で飛躍する企業がある一方、過去には厳しい事例も。
7月10日、国内で「ケンタッキーフライドチキン」を展開する日本KFCホールディングス(日本KFC)は、米投資ファンド、カーライル・グループによる株式公開買い付けが成立したと発表した。日本KFCはカーライルの傘下に入り、一連の手続きを経て上場廃止となる見通しだ。
国内に展開するファストフード業態で、ケンタッキーはマクドナルドに次ぐ規模を誇る。2024年3月期は売上高1106億円、営業利益58億円。営業利益はコロナ禍のテイクアウト需要を取り込んだ21年3月期の63億円(過去最高)に迫る勢いで、業績は好調だ。
しかし、成長戦略の課題も抱えていた。店舗数は今年3月末時点で1232店。10年間で77店しか増やせていない。カーライルは積極的な出店やメニューの拡充、デジタル戦略の強化に取り組むとしている。
既存店のさらなる改善に重点
中でも重点を置くのは既存店のさらなる改善だ。ケンタッキーはランチ利用が多く、来店客が少ない時間帯もある。カーライルの日本共同代表である富岡隆臣氏は「ケンタッキーはすべての場面の食事をカバーしているわけではない。朝食やカフェタイム、夕食での利用が少なく、そこに成長余地がある。メニュー開発は非常に重要な戦略だ」と語る。
カーライルは中国のマクドナルドや米国のダンキンドーナツの運営を行った実績がある。日本KFCとの連携でも、これまでのノウハウを活用し、成長戦略を構築していく構えだ。
過去、多くのプライベートエクイティー(PE)ファンドが外食業界に投資を行ってきた。実際に投資が企業価値の向上につながった事例は多い。
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