鉄鉱石の価格暴落によって次に起きること 需要減退の状況でも供給側は増産を止めず

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その結果、需給バランスが崩れ、価格も今年6月時点で62ドルまで下落。2011年のピークから4年で3分の1の水準へ暴落した。

各社が鉄鉱石価格の下落を覚悟のうえで増産を続けるのは、シェアを拡大して生産性の低い業界下位を駆逐するため。寡占化を進めることで、将来的に価格支配力を強めようという狙いがある。

将来の安定調達に不安

日本の大手鉄鋼メーカーもこうした動きに困惑ぎみだ。ある購買担当の役員は「これ以上、供給側の寡占化が進むと安定調達に支障を来す」と表情は冴えない。足元の鉄鉱石価格の下落は原価低減につながるが、長期的には不利な状況に追い込まれる可能性があるからだ。

今後の価格見通しについて、今年5月時点でIMF(国際通貨基金)は、2016年まで50ドルを下回る展開が続くと予想している。新村氏は、「中国は今後、公共投資などの景気対策を講じてくる。そうすると2015年下期から2016年にかけて鉄鉱石の価格はやや戻すだろう」と見ている。ただ、かつての水準からすれば停滞感は否めない。

「週刊東洋経済」2015年7月25日号<21日発売>「価格を読む」を転載)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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