すると、精神病質が強いほど、成績が悪いことがわかった。それは、ダークトライアドの特性を持つ人は衝動的である度合いが高く、無謀な冒険をするから、というのが1つの説明になる。
サイコパスは、自分が他の人々よりも利口だと考えている。彼らは私たち同様、リスクを求めるが、そのツケを払わずに済ませられることを見込んでいる。ツケが回ってくるのは愚か者たちだ、と思っている。
だから、精神病質のヘッジファンド・マネジャーは慎重さなど持ち合わせていない。一か八かの賭けをする。そして、ときおり大損する。
サイコパスは一貫してリスクを無視する、とテン・ブリンクに言われた私は、考えはじめた。これで独裁者たちについて多くのことの説明がつく、と。
独裁者の悲惨な末路
過去10年間に、私は数人の元独裁者を調べ、会って話を聞いてきた。彼らはみな、常人とは違っていた。魅力的な人もいれば、奇妙で超然としている人もいた。全員が高慢だった。だが、誰もが共通のリスクを抱えてもいた。独裁者の地位にあるのは危険だ。
サダム・フセインも、ムアンマル・カダフィも、ニコラエ・チャウシェスクも、それを思い知らされた。
アメリカや日本やフランスでは、権力を失った指導者は、本を書いて販売促進のブックツアーに出る。政界の長老になる。裕福で、尊敬されながら、高齢で亡くなる。
だが、独裁者はそうはいかない。ほとんどの独裁者は、次の3つのうち、どれかのかたちで権力の座を去る。真夜中に国外への飛行機の片道切符を手に、あるいは手錠をされて、はたまた棺に納められて。私が数えてみると、権力を失ったアフリカの独裁者の半分近くが、国外に亡命するか、独房で衰弱するか、処刑されるかしていた。
こうした末路をたどるかどうかは、五分五分ということだ。ハイチではさらに分が悪く、大統領の3人に2人がそのような苛酷な運命をたどる。
とりわけ残虐な時期にハイチの大統領が政権に終止符を打たれた様子を順に挙げると、次のようになる。国外追放、国外追放、爆死、収監、国外追放、処刑、国外追放、そして、これが特に身の毛もよだつのだが、「怒り狂った暴徒にフランス公使館から引きずり出され、公使館を囲む鉄製のフェンスに串刺しにされ、八つ裂きにされた」。
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