「石丸氏にも敗北」蓮舫氏の不透明な再起への道筋 4年後の再挑戦視野に、当面は「地道に活動」の構え

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ただ、結果的にはこの「保革対決」が蓮舫氏の大苦戦につながった。というのも、蓮舫陣営は自民党の裏金事件への国民的批判を踏まえ、『反自民・非小池』を掲げたが、「多くの都民の間では、国政での対立を都政に持ち込むことへの違和感が強かった」(選挙アナリスト)からだ。

そこで都民の支持を急拡大させたのが、「SNS選挙」と呼ばれるインターネットなどをフル活用した選挙戦を展開した石丸氏。主要メディアや各陣営の情勢調査でも、「当初は小池、蓮舫両氏のトップ争いだったが、中盤以降には石丸氏の支持が急上昇し、蓮舫氏との2位争いが焦点になった」(同)とされ、最終的には「石丸氏が大躍進の2位となり、蓮舫氏は大差の3位」という結果につながったのだ。

こうした状況変化について、蓮舫氏も選挙戦後半には、子育て支援など都政の重要課題での小池氏との違いをアピールするという戦術転換を試みたが、「都民の半数近くとされる『既成政党は信用できない』という無党派層が、石丸氏支持に雪崩を打つ結果となった」(同)のが実態だ。

「不確定要因」ばかりの4年後再挑戦

そこで注目されるのが4年後の都知事選の展望だ。蓮舫氏は立憲民主に復党したとしても、「国政復帰を否定し続ければ、政治家としての選択肢は都知事選再挑戦しかなくなる」(政治ジャーナリスト)はずだ。一方、石丸氏は「国政挑戦を否定し、自治体トップを目指すのなら、取りあえず2025年11月に予定される広島県知事選が選択肢となり、もし当選すれば、都知事選再挑戦はなくなる」(同)とみられている。

さらに、「4年後の7月には76歳となる小池氏が、あえて過去に例のない4選に挑む場合、15歳年下の蓮舫氏は今回以上の強敵となる」(同)ことに加え、「もし、自公両党などが小池氏の後継候補を擁立する場合でも、蓮舫氏を上回る知名度や政治家としての実績を持つ人物は見当たらない」(立憲民主幹部)との見方が多い。だからこそ、永田町では「蓮舫氏は都知事選の借りは都知事選で返す決意」(周辺)との臆測が広がるのだ。

ただ、これからの4年間は「何が起こるかわからない混迷政局が続く」(閣僚経験者)ことは否定しようがない。まず、9月の総裁選と、来年10月までには実施される次期衆院選、さらには来年7月の参院選と「政局の大きな節目」が目前に迫り、展開次第では4年後には「政界大再編」によって政権の枠組みが大きく変わっている可能性もある。それだけに、蓮舫氏の“再起”までの道筋は、「不確定要因ばかりで予測不能」(政治ジャーナリスト)というのが実態だ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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