タイはASEAN(東南アジア諸国連合)最大の自動車産業の集積地であり、同時にASEAN第3位の自動車市場でもある。ASEAN自動車連盟のデータによれば、2023年のタイの自動車生産台数は183万5000台と、ASEAN全体の4割超を占めた。
それだけではない。タイ政府は2021年、EVの普及と関連産業の育成を目指す政策をASEANの中で最も早く打ち出し、2030年の自動車生産に占める(EVを中心とする)ゼロ・エミッション車の比率を30%に引き上げる目標を掲げた。
この政策を推進するため、タイ政府はEV購入者への補助金や海外のEVメーカーによる直接投資への優遇措置を導入。それが中国メーカーのタイ進出ラッシュの呼び水になった。
だが、中国メーカーの一斉進出により、中国の国内市場の過当競争がそのままタイに持ち込まれる懸念もある。
日本メーカーの優位に揺らぎ
「地場のEVメーカーが存在しないか、存在しても競争力が弱い国では、(EV市場での競争が)中国メーカー同士の争いになることが往々にしてある。タイはその典型例だ」
市場調査会社の集邦諮詢(トレンドフォース)のアナリストを務める陳虹燕氏は、財新記者の取材に対してそう述べた。
タイの自動車市場を長年リードしてきたのは日本メーカーだ。市場調査会社のマークラインズのデータによれば、タイ市場における2022年のメーカー別販売台数ランキング(訳注:エンジン車を含む総販売台数)では上位10社のうち8社を日本勢が占め、合計の市場シェアは85%を超えていた。
しかし中国メーカーの進出とEVの販売増加により、日本メーカーの優位は揺らいでいる。2023年のタイ市場ではBYDが3.9%、上汽集団が3.5%、哪吒汽車が1.8%の市場シェアを獲得し、そろってトップ10にランクインした。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は7月5日
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