「海外移転=空洞化」と考えるのは誤りだ--リチャード・カッツ

日本ではほとんど毎日のように、どこかの企業が生産の海外移転を発表している。その結果、「将来日本には、空洞化した製造業と破綻に瀕した中小規模のサプライヤーしか残らないのではないか」という懸念が高まっている。

日本において、外国への直接投資を先導しているのは、国内の不利な条件を回避する必要に迫られたトップ企業である。

たとえばトヨタ自動車は、自動車の80%を海外で販売しているが、生産は国内と国外が半々なので、海外需要の4割は日本からの輸出で賄っていることになる。同社の豊田章男社長は、今の円高水準では「理屈上は(国内での)ものづくりは成り立たない」と述べている。これから数年は、現地生産がますます増え、輸出は減るだろう。トヨタは300万台の国内生産は維持しようとするだろうが、2008年の400万台からは減少するはずだ。

海外移転が進む要因は、円高だけではない。東日本大震災をきっかけに、多くの企業が、電力供給と電気料金を不安視するようになった。日本の優良企業の取引先の多くが、「ジャスト・イン・タイム」よりも「ジャスト・イン・ケース」(万が一の場合)を重視するようになったのだ。ルネサスエレクトロニクス、HOYA、三井金属などの企業に対し、取引先は、生産の一部を日本以外の国に移転させることで地理的なリスクを分散させるべきだ、と主張してきた。

また日本の輸出企業の一部は、日本と異なり、米国、EU、中国と自由貿易協定(FTA)を締結している国々へと生産を移転しなければならない、と考えている。ジェトロの調査によると、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国を起点に輸出している日本企業のうちの40%は、「FTAの利点を生かすこと」を、ASEANを起点とする理由の一つに挙げている。

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脱炭素の移行期に化石燃料の争奪戦が勃発。天然ガスの価格は歴史的な急騰を記録しました。余波はサプライチェーンの混乱から世界経済の後退懸念、原発待望論まで広がります。資源小国の日本が生き残る道はあるのでしょうか。

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