「海外移転=空洞化」と考えるのは誤りだ--リチャード・カッツ


 ただし、今日の海外直接投資の増加は、単なる「空洞化」以上の効果をもたらす可能性を示している。これまで国内市場に依存してきた企業の売り上げが拡大する傾向が見えてきたのだ。

資生堂を見てみると、海外での売り上げが占める比率は、10年前の10%から現在は40%へと急上昇しており、13年の目標を50%に設定している。マッキンゼーが発行した『Re−imagining Japan』(邦訳『日本の未来について話そう』)の中で、資生堂の前田新造会長は、日本企業は多様性に乏しく、現在の思考パターンを変える努力は、会社のトップから始めるべきだと訴えている。事実、資生堂は、経験豊富な外国人、カーステン・フィッシャー氏を国際事業担当の役員として迎えた。

外国や外国人とのかかわりがもたらすものには、アイデアも含まれる。P&Gでは、イノベーションの50%以上は外国人との協働から生まれているという。資生堂は、10年に17億ドルをかけて化粧品大手のベアエッセンシャルを買収し、世界4位の化粧品会社となった。資生堂に限らず、多くの企業がこのように遅まきながらも変貌を遂げつつある。

Richard Katz
The Oriental Economist Report 編集長。ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ等にも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。当コラムへのご意見は英語でrbkatz@orientaleconomist.comまで。

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