「業績好調」のマツダがタイ市場で抱える懸念 "日系の金城湯池"から生産撤退するメーカーも

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ただ、「決断できない」ことは「諦めない」ということでもある。有名なマンガのセリフではないが、「諦めたら、そこで試合終了」である。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

幸いマツダの業績は好調だ。

2023年度はその北米の販売増や円安の押し上げ効果もあって、営業利益2505億円(前年度比76.4%増)、純利益2076億円(同45.4%増)といずれも過去最高を更新した。

2024年度も北米の新型車投入などによって営業利益2700億円(同7.8%増)を計画する。1ドル=143円の為替想定を考慮すれば、上振れの可能性も十分にある。ASEANが多少の赤字となったして、マツダの経営がすぐに揺らぐことはない。

中国メーカーの攻勢は強まる一方だ

問題は、マツダがタイ、およびASEANで挽回できるどうかだ。ただ、市場環境はますます厳しくなる可能性が高い。今年1月には長城汽車がタイでEV生産を開始した。7月にはEU(欧州連合)における中国製EVへの追加関税が開始される。中国勢のASEAN市場への攻勢は強まるばかりだ。

今年3月末~4月初旬にタイで開かれたバンコクモーターショー。中国メーカーが目立っていた(写真:ロイター/アフロ)

前出の杉浦シニアアナリストは「足元の業績がいいので軌道修正がしづらいのだろうが、このまま何もしなければ、どこかのタイミングで(AATを)維持できなくなるだろう」と釘を刺す。

業績の不安が少ない今だからこそ、タイ市場に資金を投入して改革に乗り出すのか、それとも思い切った決断をするのか。マツダのASEAN戦略に注目が集まる。

村松 魁理 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

むらまつ かいり / Kairi Muramatsu

自動車業界、工作機械・ロボット業界を担当。大学では金融工学を学ぶ。趣味は読書とランニング。パンクロックとバスケットボールが好き。東京都出身。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事