「最初こそどうしようかなと思ってたんですが、私がここまでアイドルを続けてこられたのは、隣にまっちー(町村)がいたからできたことです。だから、これからは彼女の時代。自分なりのグループを作ってほしいですね」
引退した彩瀬は、町村のことをこう評した。長く共に時間を過ごしてきた2人だが、ケンカをしたのは覚えている限り一度だけだという。
「まっちーが入って最初の2週間目くらいの頃でしたかね。その日はお昼と夜の2つライブがあって、最初のライブを終えて、次の会場への移動の電車の中で『このままじゃダメだよ! わかってる?』って割と強めに注意したんですよ。
そうしたら、すごく大きな声でまっちーが『わかってますよ!』『わかってますよ!』って何度も叫ぶように言い返してきたんです。ケンカしたのはあれが最初で最後かな」
「当落線上」にいたオーディション
そもそも最初にグループのオーディションを受けたとき、町村は当落線上にいた。
歌、ダンスなどは素人そのものであり、とても即戦力としてアイドルデビューできそうな人材ではなかった。
「レッスンしても、どうだろうか……」
運営の冠野氏は一度は落とすことも考えていたという。
だが、町村には他のアイドルにはない、どこかズレた感じがあり、そのズレが技術レベルを凌駕する存在感を放っており、それが合格の決め手となった。
そして、正式メンバーとなったわけである。
当然ながら、ライブへの取り組み方やダンスなどのレベルは当時の彩瀬からすれば許容できるものではなく、先の電車内での注意につながったというわけだ。
「だって本当に下手だったんだもん(笑)」と彩瀬は当時のことを笑いながら振り返る。
「もう当時は千聖さんについていくだけで必死だったので……なんかそうなっちゃいました。でも、自分自身、どうにかしようって思っていました」
町村は、この電車内での出来事を、自分自身の不甲斐なさにもがいていた時期だったと回顧している。
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