そもそも町村のライブアイドルデビューは2018年6月。じつはキャリア6年と活動歴は長い。
そしてその6年間、ずっとライブアイドルとして毎日のように彩瀬と行動を共にしてきたわけである。
だからこそ、今回の彩瀬の引退には町村自身、考えるものがあった。
「加入の頃から、ずっと一緒にいた先輩で、千聖さんがいないTJを本当に想像できなかったんです。けれど、その作り上げてきた10年を引き継ぐのは私しかいないので……。その伝統を崩したくないという想いで、今は続けています」
「伝統」。長くアイドルを続けているからこそ出てくる言葉であろう。
そのグループの歴史が長いほど、メンバーとファンたちがライブハウスなどで紡いできた物語は多く、それぞれの年代別にたくさんの思い出でがある。
苦しいことなども山のようにあり、それでもなお町村が今ひとりアイドルを続けているのは、紡いできたその物語の数々を彩瀬と共に身を削り、作り上げてきたからに他ならない。
彩瀬自身はそれを「自己犠牲」と振り返っていたが、それを一番間近で見てきた町村は一番よく理解しているだろう。
「ついていくのに必死だった」先輩の背中
「今、ひとりでやり始めて、最初は千聖さんが長い夏休みに入っていて、そのうちまた戻ってきてくれるかなっていう感覚だったんです。でも1カ月経った頃に『本当にもういないんだ、私がちゃんと形にしなきゃ』と思い始めました」
偉大な先輩を失った喪失感は、次第に「自分自身のグループを作る」という想いに変わってきた。
以前、彩瀬の取材時に帯同していた町村が、彩瀬に関して語ってくれたことがある。
「千聖さんのアイドルとしてのオーラというか人間力というんですかね。本当に私には真似できないですが、必死についていってアイドルを続けてこられてます」
TJ(トーンジュエル)では、彩瀬は圧倒的なアイドルとしての存在感を放っていた。
ゆえに、どうしても隠れるような形となっていた町村ではあるが、彼女とて6年間アイドルを続けてこられているのには、それなりのワケがある。
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