
4月にSMBC日興証券の社長になった吉岡秀二社長(左)は、前任の近藤雄一郎氏(右)に続いて生え抜きの社長だ(今井康一撮影)
証券取引所の外で行われる「ブロックオファー」取引で違法な株価操縦を行い、法人として起訴されてから2年。SMBC日興証券は不祥事処理にあたった近藤雄一郎社長が退任し、吉岡秀二社長が4月に就任した。こうした中、資産運用立国に向けてNISAが拡充されるなど「貯蓄から資産形成へ」の流れが強まっている。大規模な顧客基盤を有するメガバンクグループの証券会社として、どう再出発を図り、どのように個人の資産形成を後押ししていくのか。吉岡社長に聞いた。
新システムで富裕層を深耕
――証券業界を取り巻く環境をどのように見ていますか。
資本市場を取り巻く環境が大きく変わった。リテールの分野では資産運用立国の実現に向けた各種施策や新NISAが始まったことで、「貯蓄から資産形成へ」の流れがいっきに強まった。ホールセールの分野もこれまでになくM&Aなどのコーポレートファイナンスが活発になっており、われわれがお手伝いするケースが非常に増えている。証券ビジネスの機能をこれまで以上に発揮して、日本経済の活性化に貢献していくことが重要だと思っている。
――政府が資産運用立国の旗を振っていることもあり、個人の資産運用ニーズが高まっています。
旧四大証券の一角である当社には、富裕層からの運用ニーズがとりわけ強い。対面サービスを得意とする当社として、この方々へのサービスをどう高度化するかが主眼になる。
その施策の一つが、営業スタンスを資産管理型ビジネスに変更することだ。これまでは取引に応じて手数料の獲得を目指すフロービジネスだったが、お客様の資産を管理することで収益を上げるストック型に変えていく。それに向けて2023年から営業の評価体系も変え、コンサルティングの結果をより重視するようにした。
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