4月に社長が7年ぶりに交代した大和証券グループ本社。荻野明彦新社長の下、向こう3年間の新たな中期経営計画もスタートした。5月20日の中計発表直前には、赤字決算となったあおぞら銀行に総額519億円・議決権ベースで15%超を出資し、持ち分法適用会社とすることを発表。子会社の大和アセットマネジメントも、かんぽ生命から20%の出資を受けることを決めた。「資産運用立国」の実現に向けて成長を遂げる証券ビジネスの舵をどう取っていくのか。荻野社長に聞いた。
――政府が資産運用立国を打ち出し、新NISAも始まりました。証券業界を取り巻く環境をどう見ていますか。
この1年の変化はとても大きい。政府が過去にないほど、「貯蓄から資産形成へ」を後押ししてくれた。資産運用業の改革にしても、これほどまでに議論されたことはなかったので本気度が伝わってくる。
日経平均株価も34年ぶりに過去の最高値を更新したことで、より「エクイティー・ガバナンス」(投資家による企業統治)がフォーカスされるようになったと思う。これまでは「デット・ガバナンス」(金融機関による企業統治)の時代だった。これは無謀な挑戦はしないで当初の想定通りお金を返してね、ということを意味する。だから保守的な企業経営になってしまう。「エクイティー・ガバナンス」の下では、価値が下がることも覚悟しながら大きなお金になって返ってくる期待を込めるので、チャレンジングなビジネスに挑戦しやすい環境になっていくだろう。
「リテール」と言いたくなかった
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