ホンダ八郷社長が示した「方針転換」の波紋 系列部品メーカーに不安や戸惑いの声も
八郷社長も「生産能力の過剰が収益に影響を及ぼした」とした上で、各拠点の余剰生産能力を他地域向けモデルの生産に活用する方針を表明。夏以降北米で販売する「フィット」の一部と欧州で販売する「ジャズ」は日本から輸出する。また英国からは新型「シビック」5ドアを他地域に、タイからは、ナイジェリアで生産する「アコード」の部品を出荷する。こうした地域間の補完体制では、80~90%は現地市場向けに出荷し、10~20%を他国に輸出する。
国内生産は25万台分が過剰の状態
日本市場における2015年度の販売目標は、前年度を2万台あまり下回る74万台。輸出向け8万台を加えても生産は82万台程度だ。国内全体の生産能力は約107万台で、25万台分が過剰と現実は厳しい。
国内販売の低迷は、ホンダ向けの売上高が7~9割を占める系列メーカーにも直接響く。昨年度は系列部品メーカー10社(売上高順)のうち、8社が営業減益で着地。系列プレス部品メーカーが相次いで国内の事業売却や工場閉鎖を打ち出した。
八千代工業は板金プレス事業を同業の東プレに売却する協議を開始した。同社はホンダから軽自動車の生産を受託してきたが、ホンダの自社生産開始に伴い、プレス部品の受注が大幅に減少。ホンダの発注が開発力とコスト競争力がある部品メーカーにシフトし、新規受注を獲得するのが難しくなった。今後は、主力の燃料タンクとサンルーフに経営資源を集中する。
骨格部品を生産するエイチワンは関東地方に4カ所あった生産拠点を2カ所に集約する。一方でホンダ以外との取引を強化するため、滋賀県湖南市に工場を新設し、ダイハツ工業向けのプレス部品の溶接を行う。金田敦社長は「経営効率化のため、生産体制の再編は続ける」としている。
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