「進路決まらず申し訳ない」と話す子が増える深刻 やりたいことを早く見つける必要はあるのか?

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有名な「トロッコ問題」の思考実験を考えてみましょう。「制御の利かないトロッコが、今、5人の作業員を轢こうとしている。あなたは、進行方向のレバーを引くことができるが、もしあなたがレバーを引けば、今度は切り替えた先にいる別の作業員1人が犠牲になってしまう。さて、あなたはレバーを引くべきだろうか? それとも引かないべきか?」というものですね。

シチュエーションによって答えは変わる

『思考実験入門 世界五分前仮説からギュゲスの指輪まで』(星海社新書)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

こうした思考実験に、答えはありません。人によって答えが変わり、シチュエーションが変わると全然違う答えも出てきます。

例えば「5人の作業員と1人の作業員」だったら「5人を救うべきだ」と考える人がいたとしましょう。同じ人に「5人の老人と、1人の子供」だったら、どちらを選ぶのかを聞いた場合、その人はどんな答えを出すのでしょうか。先ほど「5人を救う」選択をしていた人が、「1人を救う」選択をするかもしれませんよね。

このトロッコ問題を考えると、自分の価値観が必ずしも一貫していないことに気づきます。そしてそうした気づきを得ることができた生徒は、「本当の自分」を探すのではなく、「複数の自分」をどう受け入れるかを考えるようになっていくのです。

前田 圭介 かえつ有明高等学校・社会科教員

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まえだ けいすけ / Keisuke Maeda

社会科教師。東京大学教育学部卒・同大学院教育学研究科比較教育社会学コース修士課程修了。大学で公民科教育についての論文・実践研究・学会発表を行っていたが、現場での実践にこだわり、教壇で教鞭を執ることに。早稲田大学本庄高等学院・栄光学園中学高等学校・早稲田大学高等学院などの名門進学校で講師として勤務し、現在はかえつ有明高等学校の社会科教員を務める。「すべての学習に教養と哲学を」をコンセプトとした統合型学習塾「知窓学舎」にも携わっている。

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