独創、協創、競創が大事、屈辱感がエネルギーになる

石井裕・MITメディアラボ副所長

三つ目が「造山力」。1995年に私がMIT(マサチューセッツ工科大学)を選んだのは、頂が雲に隠れて見えない高い山だったから。でもそれは幻想だったと後で思い知った。山など初めから存在しなかった。海抜ゼロメートルから新しい山を造り上げ、世界初登頂をすること。新分野をゼロから作る「造山力」こそが、MITで生き残るための条件だった。

--ただ、出すぎた杭になるまでにはつらい日々が続きます。

 エネルギー源となるのは「屈辱感」。研究を始めたばかりの時は誰でも無名で誰にも相手にしてもらえない。その悔しさを、いつか見てろという前に進むエネルギーに変換する。屈辱感を胸にため、人より何倍も努力するエネルギーにする。

次に「飢餓感」。シベリアの強制収容所で地獄を見た私の父は、魚を骨以外、目玉も内臓も全部食べる。目の前のものが食べられるかどうか0・5秒で見極め、次の0・5秒で食らいついている。研究者にも、目の前の面白い素材やアイデアに即、食らいつく飢餓感が欠かせない。

最後は「孤高感」。真にクリエーティブなことをやると周りに理解してもらえない。論文も通らず、研究資金も来なくなり、厳しい孤独感を経験する。それでも、そういう状況に行き着くことを目標とすべきだ。

いしい・ひろし
1956年生まれ、北大大学院修士修了。電電公社を経てMITに。手でデジタル情報に触って操作できる「タンジブル・ビット」の提唱者。

(撮影:山内 信也)

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