「ポルシェの(年次改良による)ニューモデルには十分な競争力がない。にもかかわらず(ポルシェ中国法人が)ディーラーの数を増やし続けたため、販売現場に(仕入れた車両を売り切るための)利益度外視の値引きが蔓延した」。前出の関係者は、ディーラーの苦しい実態をそう話す。
中国市場はポルシェにとって最大のドル箱であり、同社のグローバル販売台数に占める比率が2021年は32%、2022年は30%に達していた。
だが、2023年からポルシェ車の人気の陰りがはっきりしてきた。同年の中国市場での販売台数は7万9283台と前年比15%減少。グローバル販売台数に占める比率も25%に低下した。
そして2024年に入ると、人気凋落に拍車がかかった。同年1~3月期の中国市場での販売台数は1万6340台と、前年同期比23.5%減少。なかでもEVの不人気が際立ち、1~3月期の総販売台数に占めるEVの比率は5.6%と前年同期(11.4%)の半分に縮小した。
BYDなど新たなライバル台頭
中国市場でのポルシェ車のメーカー希望価格は、最も安い車種でも50万元(約1082万円)を下らない。同社はスポーツカーの世界的なプレミアムブランドとして、超高価格帯のカテゴリーで圧倒的強さを誇っていた。
その神通力がここに来て弱まったのは、ポルシェのEVに中国の富裕層を惹きつける魅力が足りないことに加えて、新たなライバルの台頭がある。
中国のEV最大手の比亜迪(BYD)は2023年11月、超高級車専用のサブブランド「仰望(ヤンワン)」を立ち上げた。第1号モデルの大型SUV「U8」のメーカー希望価格は110万元(約2381万円)からだが、BYDによれば、発売後の累計販売台数はすでに6000台を超えたという。
BYDはさらに、仰望の第2号モデルのスポーツカー「U9」を2024年2月に発表。ポルシェの牙城に真っ向勝負を挑んでいる。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は5月28日
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