にぎりびと直伝「絶品おにぎり」作る簡単すぎる技 「おにぎりは人を幸せにします」神谷さん(後編)

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おいしいごはんが炊けるかどうかは「空気がいかに対流するかどうか」にかかっているのだという。お米を研いだ後に長時間、水に浸しておくと、どんどん空気が抜けてしまうそうだ。

「だからざるに上げておいて、直前に水を一気にワッと入れて炊くのがベストだと思っています。このとき炊飯器で炊くなら『早炊き』機能のほうがおすすめです」

早炊きのほうが早く炊くために火力が強い。そのほうが空気の対流が起こりやすいのだという。

「土鍋で炊くごはんがおいしいのもガスの火力が強いからなんですね。ただ、炊飯器の早炊きモードは電気代がちょっぴり高くなっちゃうので気を付けてください(笑)」

神谷さんのおにぎりが教えてくれること

そして絶品おにぎりのにぎり方は? 何か特別なコツがあるのだろうか。

神谷よしえさん
食べる側もにぎる側もみんなが笑顔になる。おぎにりにはそんな不思議な魅力がある(写真:尾形文繁)

「おいしいごはんさえ炊ければ、あとはもう人それぞれのにぎり方でいいと思うんです。有名店は有名店流のおにぎりがあっていいし、個人のお店ならばそのお店流のおにぎりがあっていい。そして家庭には家庭の形や味わいがあってもいいと思います。

誰であってもにぎる人それぞれによさがあるんです。だから『私のにぎるおにぎりはこれよ』と自信を持ってにぎればそれでいいんです」

いつの間にか私たちは、おにぎりを「具」で食べるようになってしまった気がする。

どんな贅沢な具が入っているとか、どんな「映える」具を使っているとか、そんなことにばかり関心が行って、「ほかほかのごはんで作る、おにぎりの持つ素朴なおいしさ」を忘れてしまってはいないだろうか。

神谷さんのおにぎりは、原点に立ち返ることの大切さを教えてくれる気がする。

*この記事の1回目:"炊飯器と世界を旅する"女性「にぎりびと」の意外な正体
*この記事の2回目:「"宇宙食"としても注目!」おにぎりは凄すぎる食べ物だ
高橋 扶美 ライター

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たかはし ふみ / Fumi Takahashi

長野県出身。ライター。青山学院大学経済学部卒。大学卒業後、出版社勤務、週刊誌記者を経てフリーランスライターとして独立。主に美容・健康、ビジネス書の書籍の企画・編集・制作などを行っている。過去30年間で制作した本は200冊以上にも上る。

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