JR東、申し込み殺到「JREバンク」で特典奮発の勝算 破格の大盤振る舞いでも相互送客で実を採る
そういったポイント共通化の流れの中で投入されたのがJREバンクだ。すでにクレジットカードを自社展開するJR東において、決済分野をさらに拡充させる意味は大きい。
「口座を開設したときから、お客様との接点を持てる。長期的なお付き合いにつながる」と、JR東マーケティング本部の岡部征次郎マネージャーは話す。
鉄道事業の移動情報や小売り事業の購入情報、そして金融事業の決済情報を解析することで、サービスの利用頻度や魅力を一層高められる。「JRE ポイント生活圏の拡大に資するインフラとして育てていきたい」(岡部氏)考えだ。
JR東は早期に、JREバンクの100万口座を目指す。「いまのところは順調にきている。手応えはある」と、伊藤常務は語る。
在京の私鉄大手もこぞって強化
JREバンクのシステムは楽天銀行のインフラを活用している。
預金、融資、決済などのバンキング機能をクラウドシステムとして提供を受ける、いわゆるBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)と呼ばれる仕組みだ。JR東のポイント付与や照会などのシステムと、楽天銀行のクラウドシステムを連携してサービスを展開する。
同様の仕組みは、私鉄大手の京王電鉄も採用する。同社は2023年9月に、住信SBIネット銀行が運営する「NEOBANK」サービスを活用した「京王NEOBANK」をスタートした。鉄道グループによるフルバンキングサービスは、これが初の導入となった。
同じく私鉄大手の東急は、東急ポイントの共有化による顧客の囲い込みを強化する。
これまでも、定期券購入時やグループ会社が提供する「東急でんき&ガス」などのサービスを利用する際に付与されるポイントを相互使用できた。この4月からはPASMO、Suicaで東急線を利用する顧客に、乗車金額に対して一律3%のポイントを加算するサービスを開始した。
金融サービスへ参入する可能性もありそうだ。「他社線との競争力を強くし、グループの収益機会の拡充を意識していきたい」と、東急のIR担当者は語る。
ネット専業者や小売り事業者、さらに金融機関にはない鉄道会社の強みは鉄道インフラを所有することにある。業種の垣根を越えた「ポイント経済圏」の競争においても、その強みをどこまで発揮できるか、JR東を含めた鉄道各社のポイント戦略を見極める必要がある。
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