商社勤務でも苦しい…23区「億ション」だらけの訳 高騰続くマンション価格が"適正"なカラクリ

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ただ実はバブルのときの高価格と今のマンション価格には3つ違う点があります。

それは、

1. 年々供給戸数が減っていて、その結果もあり、タワーマンションなど都心部の高級な再開発物件の価格が全体を押し上げている
2. バブルのときは土地の価格が裏付けなく上がったが、今はむしろ建築資材や建設コストがマンション価格を押し上げている。つまり実需としてのコストが上昇している
3. 高額物件は外国人投資家の購入比率が高いが、彼らはこの不動産価格が高いとは考えていない

という3つの違いです。

全体の供給戸数が少ない中で、一部の優良物件が平均価格を押し上げていて、さらに建設資材などコストの上昇が新築物件の価格を押し上げているとしたら、その平均価格が高いのは合理性があると言えるわけです。

むしろ1億2000万円の物件を背伸びして購入したとしても、仮に10年後に同じ価格で売却できるのだとしたら、6000万円の狭い物件を購入して10年後に4000万円で手放すよりも経済的にいい投資だという考えも成り立ちます。

だとしたら優良な物件の価格を外国人がどうとらえているのかが重要だということになります。そこで23区内のマンションの平均価格をドルに直したグラフを見てみましょう。

一目でわかることはアメリカ人の目から見れば東京のマンション価格は日本人が感じるほどは値上がりしてはいません。特に日本人から見れば極端に価格が跳ね上がった2020年代は今年以外は別に値段が上がっているわけではないことがわかります。

物価の上昇を差し引いたらどうなるか

さて、ここまでのグラフでも、「外国人が日本の都心に不動産を買いたいと思ったら、その価格は過去からそれほど変わっていない」ということが読み取れるのですが、ここでもう一段解、経済評論家らしいマニアックな分析を加えてみます。

「物価の上昇を差し引いたらどう見えるのでしょうか?」

という要素を加えてみます。

最近、よく経済のニュースで、「今、アメリカに行くと物価が恐ろしく高い」という話を耳にします。「ラーメン一杯がハワイでは、昔は800円だったのに、今は2000円だよ。信じられる?」というわけです。

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