EV移行で先行、中国に広がる「過剰生産」の大問題 余るガソリン車工場、供給過剰で値下げの嵐

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中国の自動車産業はEV転換の初期段階にある。その転換は今後何年と続き、いずれは多くのガソリン車工場が消える見通しだ。そうした長期にわたる変化をどう切り抜けるかに、今後の中国経済の成長は左右されることになる。中国の自動車産業は極めて巨大で、労働人口にも巨大な変化をもたらしうる。

それは中国以外の世界にも多大な影響をもたらす。中国は世界最大の自動車市場で、昨年には日本とドイツを追い越して世界最大の自動車輸出国になった。中国車の国外販売は爆発的に伸びている。

生産過剰のガソリン車を大量に輸出

上海のEVコンサルタント、ビル・ルッソによると、輸出される中国車の4台に3台は中国国内で必要とされなくなったガソリン車だ。他国のメーカーは、中国ガソリン車の輸出に押しつぶされる脅威にさらされている。

その一方で、中国のEV企業は新工場に多額の投資を続けている。BYDをはじめとする中国の自動車メーカーは今後、一段と多くのEVを投入してくる見通しだ。

中国のEV販売は現在も伸び続けている。ただ、住宅市場危機によって消費が減退したため、成長のペースは昨年夏以降、半分に落ちている。中国乗用車市場信息聯席会(CPCA)の秘書長ツイ・ドンシューは「減速傾向になっている。とくにひどいのが純粋EVだ」と話す。

ガソリン車ほどではないものの、中国ではEV生産でも過剰能力を抱え、値下げが広がる。急成長中の中国自動車メーカー、理想汽車は4月22日に値下げを実施。その前日にはテスラも値下げを行った。

そのテスラは23日には1〜3月期決算で大幅減益を発表。中国でEV業界をリードするBYDは2月に値下げを行い、フォルクスワーゲンとゼネラル・モーターズも今年、中国でEVを値下げした。

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