「仕方のない赤字」があるという、大いなる勘違い 日立もかつては黒字に頓着しない体質だった

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日立は110年の歴史がありますが、出発点は工場文化です。根本には「いい製品を作れば売れる」という考えがあります。エンジニアはモノ作りをしたい。それはすばらしいことです。熱意も尊い。しかし、いいものをつくれば売れるはず、というのでは話が違います。

契約を節目節目で見直す、最悪の場合を想定して撤退条件を入れる、などのビジネスとして成立させるというマインドに欠けていたように私は思います。赤字であっても「環境問題に貢献しているのだから」「社会に貢献しているのだから」と逃げ道を作ってはいなかったでしょうか。

「赤字は悪」というマインドがないのは危険です。稼がないとだめです。利益が出なければ、社会に貢献するための事業を展開する次の投資ができません。7873億円の赤字の遠因には、そうした体質があったのだと思います。

数字はドリルダウンする

何かのプロジェクトのリーダーであれば、皆さん、日々、さまざまな報告を受けることと思います。ただ、数字も単に眺めていたのではだめだと思います。ブレイクダウン、ドリルダウンする。小さく細かくしていくと原因が見抜けることが多くあります。

「情報・通信系事業のあるプロジェクトの利益率は3%です」と報告されたとします。最終目標を8%にしていたわけですから問題があることは誰にでもわかりますね。ですが、現場を知らないと、どこに問題があるのかまではわかりません。

そういうときは、契約に問題があるか、システム開発の人員の配置に問題があるかのどちらかです。

情報・通信系の事業の中心はシステム開発で、システム開発の原価の中心はエンジニアの人件費です。したがって、利益が上がらない原因は、契約の際の見通しが甘かったりお客さまとの仕様の合意に齟齬があったりして開発が遅延し、コストがかかりすぎているか、あるいは、社内の人員配置や社外パートナーとの連携が悪くて、うまく開発が進まずにコストがかかってしまったか、どちらかの場合が多いのです。そこで、契約や開発にポイントを絞って聞くと、問題点はすぐクリアになります。

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