楽観論。モスバーガーという知名度、認知度の高さを利用して、名も知らぬ店が通り道に出店する場合より、足を止めさせ店内に引き込む力がある。認知獲得、ブランド構築のための初期投資を抑えることができる。
悲観論。モスバーガーが長年にわたって築いてきた「手作り」「食材」「美味しさ」へのこだわりというイメージがMOSCOからはまったく伝わってこない。顧客のニーズギャップを自社のアイデンティティによって埋め、カフェ業態に新風をもたらし、競争優位を築けるとは考えにくい。端的にいえば、完全禁煙のドトールとどう違うのか。
ニュースリリースを見ると、MOSCOの特徴として3点のこだわりが列記されている。
1. ホット、アイスコーヒーには「W(ダブル)認証」のコーヒー豆を使用。
2. 毎日お店で搾る白いトマトジュースと、ビネガーソースをあわせたオリジナルドリンク
3. 国産ポーク100%のソーセージ・胚芽入りパンを使用した「ホットドック」
モスの企業理念には次の一文がある。「お客さまへ、地域社会へ、おいしさと健康と幸せをお届けしお客さまの明日への活力の再生の場となるお店が、私たちモスバーガーチェーンの目指すお店です」
このブランドプロミスを具現化したカフェ、コーヒーチェーンとはいかなるものか。モスはどんな体験を我々に提供してくれるのか、妄想、想像するだけでも楽しいのだが、実際に行って確かめてみたい。
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
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