「芸術の国」イタリアが進める鉄道保存の本気度 400両超保有の「財団」、自前の工場で徹底整備

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隣の建屋では、完全に解体された625型蒸気機関車の修復が行われていた。古い車両は、外側がきれいでも内側に傷んでいる部分が多く、この625型も車体の基礎となる台枠部分が腐食して、かなり鉄板が薄くなっているのが見た目にもわかる。完全にばらした状態から修復するのは、こうした見えない部分の補強をするためである。

625型 FS
完全に解体して腐食箇所を補修する625型蒸気機関車(撮影:橋爪智之)
625型 動輪
設計図を基に修復中の625型蒸気機関車(撮影:橋爪智之)

屋外には、整備が終わった状態の車両から整備待ちで保管されている車両まで数十両が留置されている。その中でもとくに気になったのは、現存するのがここで保管されている2両だけというALn442-448型気動車だ。

朽ち果てた車両を「救出」

ALn442-448型は、1955年にブレダ(現在の日立レールの前身であるアンサルドブレダの合併前の会社)で製造された気動車で、1957年のTEE(ヨーロッパ国際特急)運行開始時に使用された歴史的な車両だ。だが、数両を残してすべて解体され、ミラノの科学技術博物館に保存された1両もアスベストが問題となって展示が取りやめとなり、そのまま解体されてしまった。

最後に残ったALn442-448型2008号機は、アスベスト除去業者へ引き渡されたものの、その業者が倒産してしまい、屋外で雨ざらしとなって何年も放置され、すっかり朽ち果てていた。本来であれば解体されてもおかしくはないところだが、財団が救出して引き取ったものだ。

Aln442-448
TEE黎明期のディーゼルカーALn442-448は修復準備中(撮影:橋爪智之)
ALn442-448型
傷みの激しいTEE気動車は修復が待たれる(撮影:橋爪智之)

保管された車両を拝ませてもらった時には、あまりの朽ち果てた状態に愕然とした。実際、技師もこれからどうやって修復をしていこうかと頭を悩ませていると語っていたが、3年前に同様の状態から見事に復活し、本線走行を行っているETR252型アルレッキーノの例を見れば、必ずや復活を果たせるだろうと期待せずにはいられない。

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