「会って0秒」で相手の心の扉を開けられるカギ 元TBSアナウンサーが実践するコミュ力アップ術
また、「先輩・後輩間の挨拶は、まず後輩から発するべき」といった、いかにも昭和風な年功序列的な考え方も、私はあまり好きではありません。挨拶の時点で上下関係が強調されることによって、その後の対話でフラットな関係性をつくることが難しくなるからです。
むしろ先輩のほうから「おはよう!」と笑顔で挨拶をするほうが、後輩にあたる人の緊張も解け、その後の対話が温まる効果があると思います。
私自身は、相手が目上の方であろうと、年下や後輩であろうと、「先手を打つ」と決めています。対話は会ってすぐの挨拶から始まっている、と心得ましょう。
笑顔は相手の緊張を解く魔法
挨拶とセットで意識したいのが、「笑顔」。これが、2つ目の原則です。
会ってすぐ、最初に向ける表情が笑顔だと、自然と相手の心も打ち解けます。なんとなく笑うのではなく、しっかりと相手の目を見て、「あなたに向けた笑顔ですよ」と心を込めることが大切です。
笑顔そのものに言葉はありませんが、「私はあなたの敵ではなく、これから一緒に対話を楽しみたいと思っています」というメッセージを一瞬で伝える効果があります。単に「好印象に見せたい」という理由ではなく、「対話に効く」からやるのです。
この笑顔の威力は、特に、対話の後半に効いてきます。
「笑顔なんて簡単だ」と思うかもしれませんが、いやいや、これができそうでできないものです。ぜひ一度、鏡で「スマイルチェック」をしてみてください。
笑っているつもりなのに、「あれ? 全然、頬が上がっていない……。笑顔に見えない……」と、ショックを受ける人は少なくないはず。年齢と共にだんだんと顔の筋肉が衰え、表情のメリハリが乏しくなってしまうので要注意です。
私はアナウンサー時代も含めてずっと、カメラの前に立つ「出役(でやく)」を務めてきましたので、笑顔に対する意識は人一倍高いほうだと自覚しています。
鏡の前やモニターでのセルフチェックを通じて、自分の顔のどの部位をどの程度、どう動かせば、「感じのいい笑顔」がつくれるかをわかっているので、挨拶のたびに実践できる。それなりの自主研究を重ねてきたからできるのです。