「基本的にテレビ出ない」令和ロマンの発言の意図 コロナ禍経て育まれた、若手芸人の新しい基軸
こうした若手が出てきた裏には、世代だけでなく東西の土壌の違いも関係しているように感じてならない。
まず関西には、つい最近までお笑いサークルが横のつながりを持ち、交流を深める大学お笑いの土壌がなかった。芸能事務所のオーディションを受けるかお笑い養成所に入る、主流はこの2つだ。
例えば大阪吉本の若手は、まず「よしもと漫才劇場」のメンバー入りを目指して切磋琢磨する。ようやく所属メンバーとなり、プロとして認められてからも壁は少なくない。ピン芸人やコント師は、関西ではウケにくいと言われる。とくに地方からきた観光客は、漫才を観ようと劇場へと足を運ぶからだ。
筆者が大阪吉本で活動する(あるいは「していた」)複数の芸人にインタビューしたところ、コントやピン芸であるとわかった時点で「ガッカリしたような客の空気」を感じると語っていた。そんな状況もあり、吉本新喜劇に加入する、もしくは活動拠点を東京に移すことが恒例になったという。
関西の若手芸人が続々上京
注目すべきは、昨今若手の漫才師たちも続々と上京し始めたことだ。関西では上沼恵美子、トミーズ、ハイヒールといった大御所の番組が多く、そのレギュラー枠に入ることも容易ではない。
例えば2024年、『せやねん!』(MBS)のレギュラー出演者がさや香からドーナツ・ピーナツへと引き継がれたように、東京進出をきっかけとして後輩にチャンスが回ってくるのが定石だ。
一方で、東京には『ネタパレ』、『千鳥のクセスゴ!』(ともにフジテレビ系)、『チャンスの時間』(AbemaTV)など、若手を起用する人気番組が多い。
加えて、多くの芸能事務所、MCN(マルチチャンネルネットワーク。複数のインフルエンサーと提携し、総合的にサポートする組織)が集っていることからボーダーレスな関係性を築きやすくもある。お笑いライブ制作会社も多く、都内では日々さまざまな企画ライブが行われている。
昨年、事務所の異なる「ヤーレンズ×令和ロマン」のツーマンライブがコンスタントに開催されたのも東京ならではの動きだろう。若手漫才師の東京進出が増えたのは、シンプルに活躍の場が広がるからだと考えられる。
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