小泉今日子×福岡伸一「"アイドル"と動的平衡」 どんどん壊して、新しくつくり変えていく

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小泉 よくわかります。

福岡 小泉さんって、自己模倣をしないで、いつも変わりますよね。アイドル時代も他のアイドルが聖子ちゃんカットなのに、いきなり短くしたり、刈り上げたりとか。

常に自分のイメージを率先して破壊しています。そういう生き方の基本みたいなものは子どものころに身についたんですか。

小泉 そうですね。私の家族は両親と3人姉妹という構成で、私が一番下なんです。当時の私はあんまり自分の意志がなかったし、母のいうことを一番聞く子どもだったから、服なんかは母のいうとおりに着ていて、着せ替え人形みたいな……。

福岡 いつもミニスカートを、裾をすごく短くしてはかされていたと何かに書いてありましたね。

小泉 そうです、そうです。お洋服はほとんどおさがりだったんですけど、ただ、姉が着ていた服を私が着たときにもっと似合うようにするにはどうしたらいいかなとか、そんなふうに考えることが多かったです。

両親も、人と同じでいることがいいことだという考えではなかったですね。

「アイドルってどういう意味よ?」

福岡 ご両親の影響も大きいのですね。

小泉 そうですね。そういえば、こんなことがありました。

小さいときにすごく流行った筆箱があったんです。人気キャラクターの絵が描いてある筆箱でした。みんなが持っているからすごく欲しくなっちゃって、母に「買って」とお願いしたんです。

そうしたら、母は「どうしてこれが欲しいの?」って訊ねるんです。「だって、みんなが持っててかわいいんだもん」っていったら、今度は「みんなが持っているから欲しいの?」と訊いてくる。

「とにかく、欲しいの!」みたいに答えて、無理やり買ってもらったんですけど、すぐに飽きたんですよ。それで、なるほど、親はそういうことをいっていたんだなと理解して。

それからは自分が心からかわいいと思うものを一生懸命探すようになりました。

福岡 なるほど。

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