「セルフコーヒーでズルして逮捕」その後の人生 「出来心」で懲戒免職となった元公務員が語る

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弁護士ドットコムニュースの取材に応じたのは、熊本県内に住む・小出信哉さん(60代・仮名)だ。

小出さん
取材を受ける小出さん(写真:弁護士ドットコム)

「冗談話がきっかけで」現行犯逮捕された

役所の非常勤職員として働いていた2021年1月、出勤前に立ち寄った大手コンビニチェーンの店舗で、レギュラーサイズの料金(100円)で買ったコーヒーのカップに、ラージサイズのカフェラテ(200円)を注ぎ、現行犯逮捕された。

ガラス張りの店で、セルフのマシンは外からも目に入る。「常習者がいる」と通報を受けた警察が外で張り込んでいたのだった。

「少なくとも4〜5回やったと思います。カップに注ぎ入れ終えた時点で、店に入ってきた警察から『カフェラテを入れましたよね。これは窃盗の現行犯になります』と手錠をすぐかけられました」

犯罪とは無縁の人生だった自分がまさかと驚いた小出さんだが、差額にして100円分の「窃盗」行為への罪の意識はあった。

小出さんがこの「窃盗」を始めたのは、2020年の11月頃だという。知人が冗談混じりに「小さなカップでも、カフェラテのラージはちょうど入るらしい」と話しているのを聞いたのがきっかけと話す。

「いつも行くコンビニで試したら本当だった。それで癖になった」

事件の1年前に早期退職して非常勤に切り替えた。金銭的に困っているわけではない。実名報道されたことで、知人からも連絡があり、「どうして?」と聞かれたが、明確な答えを返すのは難しかった。

10年以上前から診断されたうつ病の症状が当時ひどかったことも背景にあるかもしれない。「気の緩みかもしれない」ともいう。

さて、小出さんは店から連れて行かれた警察署で5時間ほど聴取を受け、自宅に帰った。「20回くらいやった」という逮捕時の供述が報じられているが「そこまでやっていない」と首を振る。

役所はその日から出勤停止となり、検察の不起訴処分を待たないうちに、懲戒免職処分となった。この際も「あまりに重い処分ではないか」という意見がSNS上で目立ち、弁護士ドットコムニュースでも弁護士の見解を紹介している。

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