イスラム暦「ラマダン月」が試練となるイスラエル 人質解放交渉は水面下で行われ、平和の時は戻るか
エルサレムのアルアクサは、イスラム教徒にとってメッカ、メディナに次ぐ聖地である。ラマダンとアルアクサ、神聖な時と空間という組み合わせは、イスラム教徒にとって特別な意味を持つ。
ラマダン期間中、エルサレム以外に住むイスラム教徒も、制限なしに神域へ入場することができる。神域で一夜を過ごすことも認められている。
イスラエルにとってラマダン月は、緊迫感の高まる時期でもある。あらゆる場所からたくさんのイスラム教徒がアルアクサに集まることもあり、イスラエル治安部隊との小競り合いやテロ・暴動が毎年のように発生しているからである。
イスラエルの治安当局は、戦争中である2024年は入場者の人数や年齢を規制するよう要請した。当初はその方向で動いていたようだが、最終的に内閣がこれを承認しなかった。
イスラエル国籍を持つパレスチナ人(いわゆる「アラブ系イスラエル人」)は、基本的にラマダンの第1週は制限なくアルアクサへ入場できる見込みである。ただし毎週治安状況の評価が行なわれ、それに応じて意思決定がなされる。
アラブ系イスラエル人はどう過ごすか
ベン・グビール国家安全保障相は「この決定はイスラエル国民を危険に晒し、ハマスに勝利を与える恐れがある」として反発している。
ネタニヤフ首相は「われわれは適切な安全を維持しつつ、神域での礼拝の自由を保つためにあらゆる努力をし、ラマダン月にイスラム教徒が神域で過ごすことを可能にする。今までもそうしてきたし、今後も同様である」と述べている。
ただ、シャバク(国家保安局)やIDF(イスラエル国防軍)当局者は、年齢制限は設けないが、安全性の観点から神域での礼拝者数は6万人に規制すべきだと主張している。これ以上の人数になると、何らかの事件が起きた際の対応が難しいためだと思われる。
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