ゆうちょ銀行、「運用のプロ」が社長就任する意義 初の内部昇格、200兆円の貯金はどこへ向かう

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

笠間氏がゆうちょに参画したのは2015年11月。当時、ゆうちょはゴールドマン・サックス証券やバークレイズ証券といった外資系企業から、株式や債券、デリバティブなど各部門の運用担当者を相次いで起用した。

「ゴールドマン・サックス証券時代の先輩が(ゆうちょに)入社し、『運用改革をするから、一緒に携わってくれないか』と誘いがあった」(笠間氏)。笠間氏を含めて当初7人だった外資系出身のトレーダーを、当時の長門正貢社長は「七人の侍」と称した。

外国証券・投信が国債残高を逆転

背景にあるのが、ゆうちょが推し進めてきた「脱国債」だ。銀行の名を冠しながら融資業務をほとんど認められていないゆうちょは、収益の大部分を有価証券運用に依存する。民営化当初は貯金の大半を日本国債で運用していたが、低金利政策で国債の利ザヤは潰れる一方だった。

そこでゆうちょは、ハイリスク・ハイリターンな金融商品の運用へと軸足を移す。民営化直後の2008年3月末と株式上場直前の2015年3月末における有価証券運用残高を比較すると、150兆円あった国債が3分の2に減った一方、残高がほとんどなかった外国証券や投資信託は30兆円超にまで膨らんだ。

2015年11月に株式上場を果たすと、ゆうちょ銀行はいっそうの利益成長を求められる。「侍」たちの引き抜きは、有価証券運用でさらなる収益を上げる必要に迫られる中で行われた。

次ページ運用のパラダイムシフトを図る
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事