テスラ買収も浮上､｢アップルEV開発｣コケた背景 10年間でスター幹部が次々と率いたが…

外で声優がSiriの台本を読み上げる中、2人は想像上の車で道路を走った。Siriにどのレストランを通り過ぎたか尋ねると、声優がその答えを読み上げた、とデモに詳しい2人は語った。

しかし2016年までには、この車の取り組みが問題を抱えていることは明らかだった。ザデスキーはアップルを去り、彼の後任であるマンスフィールドは、このプロジェクトに取り組んでいるチームに対し、車の製造から自動運転車のソフトウェアの製造に重点を移すと伝えたと、3人の関係者は語った。

結局、自動運転からEVの開発へ回帰

アップルはカリフォルニア州から許可を得て、センサーとコンピューターを搭載したレクサスのスポーツ用多目的車（SUV）のテスト走行を開始した。BMW、日産、メルセデス・ベンツといった自動車メーカーと協議を重ねた後、フォルクスワーゲンとアップルのキャンパス内の自動運転シャトルバス用にトランスポーターバンを提供する契約を結んだ。

その後数年間で、さらに2人のリーダーが自動車開発を引き継いだ。テスラの元幹部であるダグ・フィールドは、自動運転システム構築の取り組みに傾注する中、このプロジェクトで200人以上の従業員を解雇した。彼の後を継いだリンチは、会社の計画を覆し、EVを作るという当初の考えに立ち返った。

マンスフィールドとフィールドはコメントの要請に応じなかった。

今年の初め、アップルの首脳陣は、自動車よりも生成AIに取り組んだほうが会社の時間を有効に使えると判断したと、同社は2月27日の社内会議で従業員に伝えた。同社によると、プロジェクト・タイタン・チームの一部のメンバーは、AIの仕事に配置転換されるという。

ニューヨーク・タイムズ紙との28日のインタビューでは、プロジェクトに携わっていた人々が、プロジェクト終了の決定を賞賛し、生成AIの背後にある技術は、同社の重要なiPhone事業の将来にとって非常に貴重なものになるかもしれないと語った。

（執筆：Brian X. Chen記者、Tripp Mickle記者）

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