フジ提携のネットフリックス、その真意とは トップが予言する、既存テレビの長期的衰退
ネットフリックスはある面では、既存テレビ業界のシステムを破壊する可能性があるわけだが、業界に利益ももたらせるとヘイスティングス氏は考えている。
「ネットフリックスとつきあうメリットは二つある。一つ目はコンテンツをネットフリックスに販売したり、ライセンスを提供したりすることで、世界中にコンテンツを輸出できるようになることだ。このメリットを本当に理解してもらえるようになるには、長い時間がかかるだろう。だが辛抱強く毎年新しいコンテンツを取り入れて、業界への貢献を試みるつもりだ」。
「もう一つは、ネットの世界で何が起きているか学べるということだ。伝統的企業にとっての脅威はネットフリックスそのものではない。われわれはネットテレビのシンボルだが、実際はその産業の一部に過ぎない。そして既存のテレビにとっての本当の脅威は、ネットテレビそのものなのだ」。
タダが基本の日本は厳しい市場
ネットフリックスは米国以外では国別の事業規模を開示していない。日本参入後の目標についても数値は明らかにしなかったが、代わりにこんな表現で答えた。
「ユーザーとなった人すべてにネットフリックスを心から好きになってもらう。これが1年目の目標だ。これまでの経験で学んだのは、ある市場での1年目は顧客満足に集中すべきだということ。ここですべてのユーザーが満足してくれれば2年目、3年目は大きく成長できる。最初から数値目標を掲げると、みんな顧客満足ではなく数字のために働く。数字を意識するのは2年目以降で十分だ。これから5〜10年かけて日本でうんと大きく成長し、多くの世帯に浸透していくつもりだから」。
同業では米フールーが2011年に日本へ進出したものの、2年半足らずで事業を日本テレビ放送網に売却している。米国などと異なり、基本的にタダでテレビ放送を見られる日本では、思うように会員数を伸ばせなかったことが“敗因”とされている。ネットフリックスはその高いハードルを、時間をかけて超えるつもりのようだ。
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