韓国で「若手研修医の半分以上が辞職」した裏側 医大の定員を増やしても美容外科が増えるだけ

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韓国で全国の若手医師の半数以上にあたる6000人以上の研修医が辞職するという異常事態が発生している。何が起きているのか(写真:Jean Chung/PIXTA)

韓国の主要病院では2月20日、医師不足に対処するため医学部の入学定員を増やす方針を打ち出した政府に反発した研修医らが何千人と職場を放棄し、医療現場に混乱が広がった。

足りないのは救急医療の医師

手頃な価格の医療制度を誇る韓国だが、人口当たりの医師数は先進国の中でも最も少ない部類に属する。急速に進む高齢化に伴い、とくに地方と救急医療分野の医師不足が深刻化していると韓国政府は指摘している。

抗議行動を展開しているのは病院の運営に不可欠な研修医らで、彼らによると、医師不足は医療業界全体ではなく、救急医療など特定の専門分野に限ったものだという。こうした専門分野で働く魅力を失わせている、研修医の過酷な労働条件や低賃金といった問題を政府は無視していると、彼らは主張する。

調査によると、研修医は日常的に24時間を超えるシフトを複数こなしており、勤務時間が週に80時間を超える研修医は多い。

ソウルにあるセブランス病院の救急病棟の職を辞した大韓専攻医(研修医)協議会のパク・ダン会長は19日、「医療制度は崩壊して久しい」と語った。「この先5年も10年も、自分が救急で働くことは考えられなかった」。

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