能動的に行動する力、人と他の生物で何が違うか 『行為主体性の進化』書評

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『行為主体性の進化 生物はいかに「意思」を獲得したのか』マイケル・トマセロ 著
行為主体性の進化 生物はいかに「意思」を獲得したのか(マイケル・トマセロ 著/高橋 洋 訳/白揚社/3410円/272ページ)
[著者プロフィル]Michael Tomasello/米デューク大学心理学・神経科学教授、独マックス・プランク進化人類学研究所名誉所長。著書に『トマセロ 進化・文化と発達心理学』『道徳の自然誌』『思考の自然誌』『コミュニケーションの起源を探る』『ヒトはなぜ協力するのか』などがある。

生物は、刺激に反応するだけの存在から、いかにして能動的に行動するよう進化したのか。認知心理学の世界的権威が、意思決定の心理的構造の進化を解明した画期的論考だ。「行為主体性」とは、自らが意思決定し、能動的に行動する能力のことだ。

5億年前に生息したシー・エレガンス(ミミズに似た、単純な神経細胞を持った生物)は、動き回って食物を摂取し、有害物質に出くわすと退いた。しかし、刺激に反応しただけで行為主体ではないとされる。

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