ヒット薬が97%減、住友化学子会社が陥った窮地 後継薬の売れ行きも目算狂う、財務は急悪化

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仮に目の前の借金の返済を先延ばしできたとしても、当面、基幹3製品の売り上げが大きく伸びる可能性は乏しく、キャッシュの流出はこの先も続くと見込まれる。会社側は短期的な止血策として、研究開発費をはじめ販管費の大幅な削減を急ぐと強調する。

野村社長は赤字の北米事業を優先して見直すとするが、すでにアメリカでは2023年に大規模な構造改革で人員削減などを行っており、追加のコスト削減余地がどこまであるかは不透明だ。

このままでは住友化学と共倒れ

焦点となるのは、親会社である住友化学の支援だろう。

ただ、その住友化学も今期、サウジアラビアの石油事業や住友ファーマの苦戦が響き、過去最大となる2450億円の最終赤字を計上する見通しだ。

同社の岩田圭一社長は2月2日の決算会見で、「創業以来の危機的状況」とし、来期に向けて「抜本的構造改革」を行うと言及。上場子会社が足を引っ張っている状況について問われると、「今後、抜本的改革の中で資本の持ち方をどう考えるか、体制をどうするか、については聖域なく議論していきたい」と答えた。

ある市場関係者は、「このままでは住友化学と共倒れ。最終的な救済策として(医薬品事業も展開する)住友商事に頼る手もあるが、赤字の会社を買うような行為はグループの信頼性を問われることになる。まずは売れる資産を売り、コストのかかるがん領域の研究開発を手放すなどして、最低でも赤字を脱することが必要だ」とみる。

思い切ったコスト削減により、自力で黒字化を果たせるのか。この1年が正念場だ。

兵頭 輝夏 東洋経済 記者

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ひょうどう きか / Kika Hyodo

愛媛県出身。東京外国語大学で中東地域を専攻。2019年東洋経済新報社入社、飲料・食品業界を取材し「ストロング系チューハイの是非」「ビジネスと人権」などの特集を担当。現在は製薬、医療業界を取材中。

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