ヒット薬が97%減、住友化学子会社が陥った窮地 後継薬の売れ行きも目算狂う、財務は急悪化

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当初想定したスピードでの成長が見込めなくなったこれら基幹薬などについて、住友ファーマは第4四半期に減損テストを実施する方針だ。具体的な規模には言及していないが、2023年3月末時点の同社の貸借対照表には、基幹3製品関連の無形資産が3030億円計上されている。

SMBC日興証券の橋本宗治シニアクレジットアナリストは「(基幹3製品で)減損が発生する蓋然性は高まっており、とくにマイフェンブリーは減損計上が不可避と考える」と分析。最大で700億~1000億円規模の減損を計上する可能性があるとみる。

とくにラツーダの特許切れ以降、住友ファーマの財務は悪化しており、2023年12月末時点の自己資本比率は32.4%と、50%以上あった2年前から大きく低下。自己資本自体、3435億円にまで減少している。

基幹薬の資産価値切り下げによってさらに財務が悪化すれば、金融機関との取引にも影響がでかねない。

短期借入金がこの1年で急増

この1年、売り上げが大幅に落ち込み、キャッシュの流出も続く中で、住友ファーマは借入金を急激に増やしてきた。

2022年12月末に2657億円あった現預金は、2023年12月末には364億円にまで減少。一方、有利子負債は同期間で2497億円から4118億円に急増した。中でも短期借入金は、56億円から2275億円にまで増加している。

住友ファーマの現預金と有利子負債の推移

短期借入金のうち、900億円はこの3月で借換期限を迎える予定だ。これは2023年3月にマイオバント社の株式を追加取得して完全子会社化した際に借り入れたもので、「メインバンク(三井住友銀行)と、返済方法について協議している」(野村社長)という。ある証券アナリストは「これが銀行や親会社のサポート姿勢の試金石となる」と分析する。

そのほかの借入金については、ロイバント社の保有株売却などで資金を捻出するという。

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