イトーヨーカドー、23区全店訪れて見えた"厳しさ" 消費者理解の欠如に、ちぐはぐな改善策も…
そもそも、ヨーカドーの始まりは、浅草にあった洋品店で、そこでは顔の見える関係性の中で商いが行われていたはずだ。そのような消費者理解の原点に立ち返るべきなのではないか。
③立地を活かす
創業者の伊藤は、その立地について非常に慎重だったという。出店地域の交通量や家族構成などを綿密に調べあげたうえで最終的に出店にGOサインを出した。そのため、特に都内23区のヨーカドーの立地は非常に優れている。
また、ヨーカドーが多く出店をする、江戸川区、江東区などの東東京エリアは、東京スカイツリーの開業以後、不動産価値も上がり続けている地域だ。
近年では、かつしかけいたのマンガ『東東京区区』でその地域の多様性が描かれるなど、文化的に再注目を集めている。筆者の知り合いも、ヨーカドーがある木場に引っ越すなど、エリアとしての価値は高い。
その点で、こうしたエリアに店舗を持っていることの意義は深いはずだ。ヨーカドーが店舗改革の成功例としている大森店は、大森という下町の代表的な場所に位置していて、食料品売り場の活気も非常にある。試食品販売なども盛んで、かつての商店街を見ているかのような賑わいであった。
試食品の実演コーナーを設けるなどの工夫が、最近の店舗改革では見られるが、そうした改革で、いかに下町の活気をうまく取り込めるかが重要だ。
買い物の楽しさをヨーカドーは取り戻せるか
というわけで、ずいぶんと好き勝手に書いてしまった。これらは15店舗を全部巡ったからこそ見えてきた視点だったと思う。
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