ハイブリッドシステムにおいては、発進や加速時にモーターがカバーする領域を拡大したそうだ。たしかにいずれの場合もスムーズで、メーター内のEV走行表示が点灯している時間は期待以上に長い。
車重は約1.3トンあるが、重さを感じさせずに走る。やたらな軽快さはない一方で、適度に重い操舵感や、少しゆるめのトルクの出方が、全体としてうまくバランスされていると思った。
「レクサスに3気筒でいいのか」という声もあったようだが、「このエンジンは、ヤリスやヤリスクロスをはじめ、これまでに十分な蓄積があったもので、自信をもってLBX用にチューニングできました」(エンジン開発担当の天本良氏)とのこと。
特に気をつかったのは2点。ひとつは「市街地での扱いやすさ」で、時速50km近辺で力がしっかり感じられるようなトルクカーブを実現した。
ヤリスの場合は、基本的に同じエンジンでも、トルクがゆるやかに立ち上がっていくが、LBXでは燃費を多少犠牲にしてでも、パンチがほしかったそうだ。
音に「3気筒エンジンの醍醐味」あり
もうひとつは「音」。レクサスに載せるので「雑味のない音にしなくては、と注意を払いました」(天本氏)という。各気筒の点火時期を機械的に決めるのではなく、爆発と爆発のあいだのノイズが残らないよう、微妙なチューニングを施したそうだ。
上記2つの点で、このエンジンは独特のキャラクターになっている。
駆動用バッテリーの電力量が規定を下回り、エンジン走行モードになったとき、アクセルペダルを強めに踏み込んでみると、常用速度域でのドンっというトルク感を経て(だいたい2000~4000rpm)、その先のレッドゾーン近くまで一気に回る。
このとき高音の、ふだんはあまり耳慣れしていないエンジン音が響く。前出の天本氏によると「高回転域で聞こえるきれいな高音こそ、3気筒エンジンの醍醐味」だそう。エンジン音が大きいと思わず、音に耳を傾ける価値があるということかもしれない。
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