森久:TRIBUSの運営を支援している会社は、日本では初めてではないかと言っています。スタートアップとアクセラレーションプログラムをやっているところは珍しくないでしょうし、それとは別に社内でビジネスコンテストをやっているところもあります。
しかし、それが1つのプログラムとして統合して実施されている前例はなかったと思います。
井上:オリジナルということですね。運営は難しいように思いますが、何か気をつけていることがあるのでしょうか。
森久:価値判断指針について「これだけはやらない」というシンプルなルールを3つ用意しています。
第1に、リコーグループだけで判断しない。グループでできなかったことに挑戦するのだから、グループの判断だけでは不十分です。
第2に、リコーグループだけで取り組まない。今後の新しいビジネスというのは、領域も広がるので、自社だけでは賄いきれない。スピード感を高めるために、リコーグループだけでは取り組まないようにする。
第3に、いいアイデアを「いいね」と表彰して終わらせない。ビジネスコンテストとしてありがちですが、このプログラムにおいては立案され採択された事業は社会に実装することが求められます。
試行錯誤する段階のスタートアップに向いている
井上:社内と社外、それぞれどのような方が応募されるのですか。
森久:社内チーム向けのプログラムでは、3万人の国内グループ社員全員が対象です(取材の時点で、国内の社員が参加可能)。皆さんに自由に応募していただきます。
普段から商品や事業を企画している人はもちろん、設計開発や品質保証や知財管理をしている人、あとは顧客接点の現場で営業や複合機のメンテナンスをしている人など、本当にいろいろな方が参加しています。
一方、社外のスタートアップは、まだ試行錯誤段階にある会社のほうがこのプログラムに適していると感じます。たとえば、経営が安定して、投資および出資の段階がすでにシリーズCまで進んでいるような会社は、個別に事業部に問い合わせて協業を持ちかけたほうが早いです。
逆に、今まさにピボット(事業の方向転換)を繰り返しているシード・アーリー期のスタートアップは、適切な支援がここで得られる。
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