グーグル・メタ、息を吹き返した「広告王」次の関門 メタ株は爆上がりも、広告依存の脆さ変わらず

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メタが2月1日に発表した2023年12月期決算は、売上高が1349億ドル(前期比15.6%増)、営業利益は467億ドル(同61.5%増)だった。売上高の97%を占める広告事業が16%伸びたことが主因だ。

2023年10~12月期、フェイスブックやインスタグラムなどの1日当たりの利用者数は31億9000万人と、前年同期比で8%近く増加した。EC事業者や消費財メーカー、エンタメなど、幅広いジャンルの広告主から強い出稿需要があり、こちらも四半期ベースで過去最高の業績を記録した。

Metaの業績推移

メタに注目が集まった理由は好決算だけではない。2012年の上場以来、初の配当実施を決めたのだ。

3月26日を支払日とし、2月22日時点の株主に対して1株当たり0.5ドルを配当する。スーザン・リーCFO(最高財務責任者)は決算発表後の電話会議において、「自己株買いが株主還元の主要な方法であり続ける」と見込みを語ったうえで、配当導入の意義を「将来の資本還元方法に柔軟性が追加される」と説明した。

ネット広告の先行きには不透明感

好決算と株主還元の拡充を発表した翌日、メタ株は20%もの急上昇を記録。時価総額は約1兆2000億ドルをつけ、日本円ベースではたった1日で約30兆円も膨らませた。

力強さを取り戻したグーグルとメタ。しかし、一時的な業績の停滞を経て、マクロ経済環境に左右される広告依存の危うさを露呈したことも事実だ。

現に足元では「Cookie(クッキー、ブラウザーに保存されるウェブサイトの閲覧履歴)」への規制トレンドが加速している。自社サイトを訪問したユーザーを別のサイトの広告枠まで追いかける「リターゲティング広告」など、効果的な広告手法の基盤が崩れることで、ネット広告の投資対効果に不透明感が漂いつつある。

世界のネット広告シェアで1位と2位の座に君臨する両社は、再び右肩上がりの成長軌道を描くことができるか。AI活用などによる広告事業の磨き上げだけでなく、グーグルはクラウドインフラの育成、メタはVRヘッドセット「メタ クエスト」の展開など、広告一本足経営からの脱却が問われることになる。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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